一眼レフカメラの基本

コマ撮りをするときは一眼レフのデジタルカメラを使うことが多いです。しかも、コマ撮りをするときはマニュアルモードで撮影をしなければいけません。そこがコマ撮りに初挑戦する時の一つの壁になっているのですが、ここではカメラの基本であるピント・露出・シャッタースピード・ホワイトバランス・ISOといったマニュアル撮影をする際に必要なことについて簡単に紹介したいと思います。


ピント・露出・シャッタースピードはお互いに深く関わりあっているので、この3つはセットで覚えたほうがいいと思います。
ピント
どの被写体をどれだけ鮮明に映すか、を決める値です。ピントはカメラから被写体までの距離で決まります。ピントを合わせることをフォーカスといいます。自動的にピントを合わせるオートフォーカスモードでコマ撮りをすると、被写体が動いた時にピントがずれてしまうので、必ずマニュアルモードでフォーカスを固定して撮影します。

露出
露出は写真の明るさを決める値です。写真はレンズから入ってきた光が映像素子に当たり、その光をデータ化することで記録されます。そしてレンズとシャッターの間に「絞り」というパーツがありますが、このパーツの中心にある穴の大きさを調整することで映像素子に当たる光の量を調節します。

絞りは絞り値(F値)という撮像素子に写る像の明るさで表示し、F1.4、F2、F2.8、F4、F5.6、F8、F11、F16、F22、F32のようなF+数値で表します。F値が上がると「絞り」の中心の穴が小さくなり、レンズを通る光の通り道が狭くなるので写真は暗くなります。F値を下げると「絞り」の穴が大きくなりレンズを通る光の通り道が広くなるので写真は明るくなります。

シャッタースピード
シャッタースピードは写真の明るさを決める値です。…と書くと露出と同じように見えますが構造はまったく違います。
カメラのシャッターボタンを押すと、上記の絞りと映像素子の間にあるシャッターというパーツが開いて映像素子に光が当たり、写真が記録されます。このシャッターを開けておく時間のことをシャッタースピードと言います。

シャッタースピードを速くすると、シャッターが上がっている時間が短くなり、映像素子に光が当たる時間が短くなるので写真は暗くなります。逆にシャッタースピードが遅いと、シャッターが上がっている時間が長くなり、映像素子に光が当たっている時間が長くなるので写真は明るくなります。つまりシャッタースピードとは画像を記録する映像素子に当たる光の時間を調節する機能です。
子供や風景などの写真を撮るときはシャッタースピードを長くすると子供が動いてしまったりカメラを持つ手が動いてしまい、写真がブレてしまうことがありますが、コマ撮りの場合は撮影するものが動かないし、カメラは三脚に固定するのであまり影響はありません。


被写界深度
ピント・露出・シャッタースピードの3つがお互いに関わり合っていると書きましたが、その理由が被写界深度です。
ピントの説明で、ピントとはどの被写体をどれだけ鮮明に映すか、を決める値です。と書きましたが、ピントには範囲があります。その範囲のことを被写界深度と言います。

例えば、赤・青・緑の3人が縦に並んでいるとします。赤にピントを合わせて青が被写界深度の中にいると青もピントが合いますが、被写界深度の外にいる緑はピントがずれてボケて見えます。

そして、この被写界深度は露出によって決まります。絞り値(F値)を上げる(絞る)と被写界深度は深くなり、F値を下げると被写界深度は浅くなります。しかし、絞り値を変えると写真の明るさが変わってしまうので、その分シャッタースピードで調整します。

この被写界深度をどうやって使うかというと、下の写真を見比べてみてください。写真Aは被写界深度が狭いので後ろにいるシマウマがボケていますが、写真Bは被写界深度が広いのでシマウマもはっきりと写っています。
写真Aは後ろのシマウマがボケているので、写真を見ている人は自然とライオンに注目します。つまりライオンだけを見せたい。ライオンに注目してもらいたい。例えばライオンが物思いにふけっているようなカットでは被写界深度を狭くしてシマウマをぼかします。
逆に、ライオンとシマウマ両方を見せたい。例えば2匹が会話しているようなカットでは被写界深度を広くして2匹をはっきり見せるようにします。
このように被写界深度によって、見ている人が感じることはまったく変わってきます。一番大事なことは撮影するカットのどこを見せたいかです。こういったことを考えながら、被写界深度のことを含めてピント・露出・シャッタースピードを決めていきましょう。



ホワイトバランス
光には色があります。火や白熱電球は赤みを帯びていて、太陽の光は青みを帯びています。この光の色を”色温度(単位:K ケルビン)”といいます。ろうそくの火は2000k、蛍光灯は4000k~4500k、晴天は5000k~5500k、曇りは6000k~6500kといった具合です。(数字が少ないほど赤っぽく、多いほど青っぽくなります)

そのため、白い被写体を撮影しても色温度の影響で赤っぽく映ったり青っぽく映ってしまいます。この色合いを調整して、白い部分をきちんと白く映す調整機能がホワイトバランスです。
カメラのホワイトバランスには「晴天」や「曇り」「電球」「蛍光灯」「マニュアル」といった”モード”があります。それ以外にも上記の色温度を指定したり、カメラの機種によって操作は違いますが、白い紙をカメラの前において測定する方法(マニュアル)などがあります。


ISO感度
ISO感度を上げると写真が明るくなります。デジタルカメラは映像素子に当たった光を電気信号に変えることで画像を記録します。シャッタースピードや絞りは映像素子に当たる光の量を変えることで写真の明るさを調節しましたが、ISO感度は電気信号を増幅することで写真の明るさを変えることができる機能です。そのため、ISO感度を上げると写真がざらついたりノイズが多くなることがあるという短所もあります。コマ撮りの場合はISO感度を上げなくてもシャッタースピードで十分対応できるのでISO感度はできるだけ低い値に設定したほうが無難だと思います。また、一つの作品ではISO感度は統一したほうがつながりも良くなると思います。


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