今月(2020年12月)にYouTubeに投稿した動画をあるオンラインショップに無断で使用されました。
初めての事だったので知りませんでしたが、ネットで調べると同じように動画を無断で使用される被害が最近増えているようなので、何かの参考になればと思い、今回、自分達が対応した経緯をまとめておきたいと思います。
最初に気がついたのは12月中旬、夜にInstagramを開くと自分がYouTubeにアップした動画の一部が流れ始めました。
8年も前に制作した動画ですが、いつもお世話になっている日本人の職人さんが制作・販売しているストップモーションアニメーションに使用するアーマチュアキット(人形の骨組みに使用するキット)の作例動画です。これはYouTubeで公開をしていますがInstagramに投稿した覚えは無いので、最初は何が起きたのか理解できませんでしたが、動画をタップするとオンラインショップが開いて、自分が使ったアーマチュアキットとは別の商品が表示されました。ここで、自分の動画がこの別商品の広告動画に盗用されたことが分かったので、とりあえず証拠を残そうと思ってスクリーンショットを撮りました。これがその画像です。
Instagramの広告を見ると違反報告が出来るらしかったので、広告の右上にあるリンクから画面を開いていきました。
知的財産権の侵害に当たると思い、画面を開いていったのですが入力項目が多かったので、きちんと調べてから入力しようと思ってキャンセルをしたら、一番右のメッセージが表示されてしまい、広告が消えてしまいました。しまったと思い、何度かInstagramを開きなおしたのですが、問題の広告動画は表示されません。一旦諦めてとりあえず日本人の職人さんに報告しないといけないと思い、Facebookのメッセンジャーを開こうとしてFacebookを開いたら、その問題の広告動画がFacebookでも表示されました。その広告動画はInstagramだけでなくFacebookでも流されていたのです。すぐにメッセージを作成して送ったのですが、メッセージを送る作業をしている間にFacebookの問題の広告動画も間違って閉じてしまいました。再度開いても広告は表示されません。今は冷静になって文章を書いていますが、この時は盗用されたことがショックでかなり動揺してしまい、お粗末な対応をしてしまいました。難しいとは思いますが無断使用を見つけたら、とにかく証拠をしっかり確保することが大事だと思いました。ただ今回は、広告を閉じてしまう前にオンラインショップのURLは保存することが出来ていたので、それが後になって救いになりました。
InstagramやFacebookは広告への対応機能はありますが、問題がある広告が表示されないと何もできないのが難しい点だと思います。
結局、証拠として残せたのはスクリーンショットの画像とオンラインショップのURLのみだったのですが、後日二人で対応を考えて、まずは盗用されたことをSNSで公表してみよう。ということになりスクリーンショットの画像と合わせてTwitterとFacebookに投稿してみました。いくつか反応がありシェアもされていった数日後に、その広告動画に自分も盗用された。という英語のコメントをTwitterでもらいました。被害は自分だけではなかったようで、彼もInstagramに盗用されたことをシェアしていましたが、自分たちと同じく問題の広告動画を見つけられずにいました。それから更に数日たって、その広告動画も見ることがなく、もしかしたら使用を止めたのかも?と思っていたのですが、同じくTwitterから問題の広告動画をさっきInstagramで見かけた。という英語のコメントをもらいました。しかし自分がInstagramを開いても広告はもう表示されないので、問題のオンラインショップを開いてみたところ、今度は問題の広告動画がYouTubeにも投稿されていて(限定公開でYouTubeチャンネルにはその動画だけアップされていた)、その動画がオンラインショップに貼り付けられていました。すぐに画面キャプチャ―ソフトを使ってその画面を記録しました。これがその動画です。
よく見ると、自分以外の動画もかなり無断使用していることがわかりました。さすがにこれは放置できないと思い職人さんと再度連絡を取って、今回は動画として証拠も残せたし、無視されるかもしれないけど、一度このオンラインショップの問い合わせフォームから使用を止めるように言ってみよう。それでダメなら、さらにSNSでいくつかの場所に投稿しよう。という話をして、コンタクトをとってみることにしました。
ここで、あらためて問題のオンラインショップを見てみたのですが、そのアーマチュアキットを製造しているらしい中国企業のURLが明記してあり(URLの画像が貼ってあり直接リンクはしていない)、そのサイトを開いてみると確かにそのアーマチュアキットが紹介されていて、その製品を使った別の作例動画がありましたが、無断使用している広告動画はありませんでした。そして、その中国企業のページでは、問題のオンラインショップとは別に、オンラインで購入できるようにもなっていました。つまり、アーマチュアキットを製造販売している中国企業と問題の広告動画を使っている正体不明のオンラインショップという2つの存在があり、2つの関係性はよくわかりません。

製品を作っている大本の企業に連絡するか、正体不明のオンラインショップに連絡するかですが、まずは問題のオンラインショップの問い合わせフォームからメールを送ってみました。内容は英語で「あなたは私たちが制作した動画を無断で使用している。使用するのを今すぐに止めなさい」という内容の文面です。言いたいことはたくさんありましたが、話を複雑にしたくなかったので、こちらの要求だけをシンプルに伝えました。こちらの連絡先のメールアドレスに何を使用するかも迷いましたが、変に別ドメインのメールアドレスを使うよりも、YouTubeにアップした動画の本人であることを証明できるgmailのアドレスを入力して送信しました。
すると以外にも数分で返事が返ってきました。『問題の広告動画は他の動画エディターに依頼したもので、彼がどこから素材を持ってきたのか把握していなかった。あなたの動画へのリンクを張り付ければ、あなたの動画の再生回数も上がるので、その対応でどうか?』という内容でした。

つまりオンラインショップが依頼した動画エディターが無断で使用した。という言い分ですが真偽の程はわかりません。そもそも自分の動画は販売している製品を使っていないのにおかしいだろ。という理屈は通じなさそうだったので、とにかく自分達の動画を広告動画から削除しろ。という要求は変えずに、ほぼチャット状態で何度かメールのやり取りをしました。こちらの拙い英語力のせいかもしれませんが、『オンラインショップから製品を削除しないといけないのか?』とか『これはあなた方の製品なのか?』など不明な質問を投げかけられながらも、やり取りを何度かした結果、『マネージャーに連絡をするから数日待ってくれ』という返事が返ってきて、そのすぐ後にマネージャーのものらしき別のアドレスから『その広告動画を削除する』というメールが来ました。
次の日にオンラインショップを見たら貼り付けてあった動画は見えなくなっていましたが、YouTubeで限定公開されていた問題の広告動画(YouTubeのURLは保存しておいた)はまだ残っていたので、再度メールで、こちらでInstagram・Facebook・Youtubeで使われていることを確認している。全てのメディアで私たちの動画を使わないように。と伝えたところ、翌日YouTubeの動画も削除されていました。

そしてTwitterで動画の使用を止めるとの連絡をもらったとの報告をツイートし、もし問題の広告動画を見かけたら教えて欲しいともツイートしておきました。その後も、たまにオンラインショップをチェックするようにしていますが、今のところはその広告動画を使っている様子はありません。動画の無断使用が発覚してから約10日間ぐらいの出来事です。
以上が、動画の無断使用から自分たちが取った対応の流れになります。結局、製品を製造している中国企業と問題のオンラインショップとの関係性は不明。賠償金でも払ってほしいところですが、動画の無断使用を止めることが最優先だったので、最低限の目標はとりあえず達成できました。
とにかく感情的にならずに相手の状態をよく見て、自分たちの要求をシンプルにしっかり伝えることが大事だと思いました。
弁護士に相談して対応してもらうと数十万円以上はかかるらしいし、相手が海外となると言葉の壁も出てきます。こういう時の個人は本当に不利な立場です。今回のようにYouTubeを動画の素材置き場程度にしか考えていない人はいるし、動画の無断使用は国内でも起きているようです。
ただ、やはり泣き寝入りだけはしないで、しっかりと自分が作ったものは自分で守る。という姿勢は崩さずにいなかいと、こういった問題は今後も増えていくと思います。