コマ撮りの場合、何時間もかけて撮影することがあるので撮影中に画面の明るさが変わらないように、照明器具を使って一定の光を当てます。外からの光も入らないように厚手のカーテンや暗幕でしっかりと遮りましょう。
照明に使う器具
LEDライト
高価ですが、長寿命で安定した照明をすることができます。ものによっては重さがあるのでしっかりと照明用三脚に固定する必要があります。発熱量も少なく火傷の心配も後で紹介するタングステンランプほどではありません。
アイランプ(タングステンライト)
写真撮影によく使われる照明器具です。軽量で光量があり比較的安価なので揃えやすいですが、寿命が短いので撮影中に球が切れることがあります。また、長時間使用していると発熱するので、直接、手で触ると火傷をします。かならず手袋をして扱いましょう。
エリスポットライト(ハロゲンライト)
一部に光を当てるスポットライトとして活用します。内蔵されているレンズを調節することで、くっきりとしたスポット光を作ることができます。内臓されている4枚の羽根で自由に光を区切ることもでき、小さいものを照明するときは重宝します。タングステンライト同様、発熱するので扱いには注意が必要です。それなりに重さもあるので使うときは照明用三脚が必要になります。LEDを使ったスポットライトもありますが値段が倍以上違ってきます。
スライダック
電圧調整器です。家庭用電源と照明器具の間に接続して使います。ダイヤルを回して電圧を変えて照明の明るさを調節することができます。ただし、暗くし過ぎると光が赤みを帯びてきたりするので落とし過ぎには注意です。
Cスタンド
照明以外にもいろいろなものを固定できるスタンドで持っていると重宝します。通常の三脚と違って3本の足の高さが違うので、複数のスタンドを隣接して設置することができます。アームとヘッドというパーツも一緒に揃えておくとさらに便利です。足は折りたたむことができて使わないときは壁際にしまっておくこともできます。
サンドバッグ
砂袋です。照明は転倒するととても危険なので三脚やスタンドの足にかけておいて転倒防止に使います。撮影台の足に置いてもがたつき防止になるので用意しておくと便利です。
突っ張り棒
狭い部屋では三脚を大量に使うのはスペース的に難しいです。突っ張り棒を床と天井の間に設置しておくと狭いスペースで照明器具を固定するのにとても便利です。
レフ板
レフ板といってもコマ撮りの場合は大きなものを照明するわけではないので、厚画用紙やスチロール板があれば十分です。その代わり撮影中に動かないようにしっかり固定しておく必要はあります。
トレーシングペーパー
照明が強すぎるときはライトの正面にトレーシングペーパーを張ると光が散って柔らかい光になります。発熱量の多い器具を使うときは燃えないように注意しましょう。
黒アルミホイル
光を遮る場合に使います。熱に強く自由な形にすることができるので、一つ用意しておくと便利です。丈夫なので何度も使うことができます。
お手軽照明
何もセットが無い状態で、とりあえずコマ撮りで動かしてみたい。というときは全体的に光が当たるように照明してみましょう。そんな場合は直接、光を当てるよりも反射光を使うと光が拡散してそれらしく映ります。
照明の考え方
照明のやり方がわからないときは、最初に光源の位置を考えてみましょう。屋外なら太陽、部屋の中なら室内照明です。光源は一つとは限りません。部屋に窓があったら室内照明と窓から入る太陽の光が光源です。光源に照明を設置して影が強過ぎたらレフ板などで反射光を作って影を和らげてみましょう。反射光が弱かったら別のライトで光を当ててみてもいいです。とりあえず照明をしてみたら試し撮りをしてみて被写体が綺麗に映っているか見てみます。気になるところがあったら照明の位置をずらしてみたりして調整しましょう。
チラつき(フリッカー)について
コマ撮り撮影独特の照明に関する問題が「フリッカー」です。
「フリッカー」とは、照明の明るさが安定しない状態で撮影を行うと、シャッターを切る度に明るさが変わってしまい、撮影した映像を再生するとチラチラと画面が明滅してしまう現象のことをいいます。フリッカーが激しい映像を長時間見ていると目が疲れてしまい、作品に集中できなくなってしまうので、フリッカーを出来るだけ起こさないことが重要です。
フリッカーの原因と対策
フリッカーの原因は様々です。主な原因と対策を紹介します。
照明器具の問題:蛍光灯などのチラツキが多く発生する照明器具を使うとシャッターを切った時の明るさが安定しません。コマ撮りの撮影には室内照明は使わないで撮影用の照明器具を使うようにしましょう。
電源の電圧が不安定:もともと家庭用電源は電圧が不安定です。特に夕方や夏場など近所で電気を頻繁に使う時間帯・季節は電圧が不安定になる場合が多くなります。対策としては、撮影中に著しく明るさが変わったときは、電圧変更器(スライダック)を使って電圧を変えることで明るさを調節しながら撮影する。または、撮影後にフリッカーを軽減するソフトを使うことで、デジタル的にフリッカーを軽減する処理を行う。(AfterEffectsのプラグイン FrickerFree フリッカーフリーなど)
撮影物周りの影響:撮影中に周りを人が移動したり、物が移動すると反射光の影響でフリッカーが起こります。アニメーター自身の反射光が原因となる場合もあります。撮影中は人の移動は極力行わない。またアニメーターは白い服は避けて、暗めの色の服を着るようにします。
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